「心、万境に随(したが)って転ず」と読み下し
「人のこころは様々な境遇によって移り変わるものである」という意味。
皆様は、この言葉から何を思い浮かべるでしょうか。
自分のこころ?誰かのこころ?過去?未来?いま?
.
私はこの言葉を、自分の境遇に重ね合わせて創作しました。
書道家として独立してから、様々な困難に差し当たった際、
どうしても自分を認められない自分がいたり、
もがく自分に嫌気が差したり、
情けない自分に腹が立ったりしたものでした。
そうした自分をまた卑下し「こうあるべき」「こうするべき」という理想像と
勝手に比較しては、絶望する日も多々ありました。

しかし、この言葉と出逢い、人の心は移り変わるもの、
つまり心の理想などは関係なく、移り変わる心をもっていること
そのものが幸せであり、実に人間らしく尊いものであると
教えてくれた気がしたのです。

私のそうした葛藤や悩みなどネガティブに見える部分も、
その部分があるからこその自分であり、作品が生まれ、
誰かの力になることもできる。
やっと、そう思えてくるようになりました。
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もちろん、これは私自身の解釈に過ぎませんが、
人間誰しも心を持っており、誰しもが心が豊かでありたいと
理想を描くものの叶わず、悲しみや怒り、
寂しさや虚しさを味わうときは絶対にあると思うんですよね。

私は自分のこころも他人のこころに対しても、
そのさまを含めて認め、愛することができる人になりたいと強く思いながら
この作品を創作しました。

その想いが理想となり、また隔たりを感じることもきっとありますが、
もうそれは自然なことだと知っているから、それで良いんです!

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